ムービサポートプロ:箕面市役所 様

「映像制作には目的意識が重要。映像活用シーンと視聴者を意識した的確なアドバイスが、効果的な作品を生み出しました」


箕面市では、住民への情報提供や理解促進、PRなどで、積極的に映像を活用しています。その中で、サムシングファンが制作に携わったのは『ようこそ箕面へ』、『北大阪急行線延伸計画イメージ映像』、『芳醇な“実生の大ゆず”〜18年の歳月が育むプレミアム』の3本。これらの映像コンテンツ活用の成果と、これからの自治体における映像活用の可能性について、近年における箕面市発展を牽引する市長・倉田哲郎氏にお話をうかがいました。

箕面市について

箕面市の市章

大阪北部に位置する人口約13万人のベッドタウン。
滝ともみじに代表される豊かな自然と交通の利便性の良さが魅力である。古くから名勝として知られる箕面山を中心とする「明治の森箕面国定公園」をはじめ、観光名所が随所にあり、年間120万人以上の観光客が訪れる。
「子育てしやすさ日本一」を目標に掲げ、子育て世帯を中心とする住みよい環境整備に力を入れており、年々、人口も増加。『都市データパック』(東洋経済新報社)では2012年、2013年の2年連続で「住みよさランキング」大阪府第1位に輝いている。大粒で芳醇な香りを特徴とする実生ゆずなどをはじめとする特産品のPRや「箕面ブランド」の育成に努める他、2020年度には地下鉄御堂筋線につながる北大阪急行線が市内中心部の「かやの中央」まで延伸することも決まっており、今後もますますの発展が見込まれる。

サムシングファン制作・箕面市関連映像コンテンツの内容と成果

(1)『ようこそ箕面へ』
箕面市の魅力を総合的に伝えるPR映像。市の重点施策や「箕面大滝」や「もみじの天ぷら」といった箕面観光の代名詞的な事柄を紹介するだけではなく、希少な実生ゆずの産地であることや、カルピス創始者の出身地であること、世界一の賞を受賞した箕面ビールの存在など、あまり知られていない箕面市の一面をバランスよく取り上げ、10分弱の映像にまとめている。(2009年、サムシングファン寄贈)

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(2)『北大阪急行線延伸計画イメージ映像』
1968年以来の箕面市の念願である鉄軌道・北大阪急行線の延伸計画に関して、完成後の具体的な街のイメージを住民や関係者とともに共有することを目的に制作。現在の終着地点である千里中央駅から箕面市の中心地に新設する「新箕面駅(仮称)」に至る延伸後の街の風景と、そこを走る鉄道の様子を描き出している。実写とCGの合成でリアリティ溢れる映像に仕上がっている。(2011年、北大阪急行線延伸推進会議制作)

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(3)『芳醇な“実生の大ゆず”〜18年の歳月が育むプレミアム』
箕面市の特産品「実生ゆず」とそれを原料とする「箕面プレミアムゆずマーマレード」のPR映像。芳醇な香りが漂いプレミアム感のある「実生ゆず」だが、種から育て実が成るまで18年といった長い年月がかかり収穫量も少ないため、認知度が低い。2013年12月、西宮阪急での特別販売に合わせて制作。(2013年、箕面市セールスプロモーション実行委員会制作)

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箕面市が映像コンテンツを活用するようになった経緯

箕面市の特産品・実生ゆずのPR キャラクター・たきのみちゆずる
箕面市の特産品・実生ゆずのPRキャラクター・たきのみちゆずる

ーー箕面市が映像コンテンツを活用し始めたきっかけを教えてください。
箕面市が映像コンテンツを活用し始めたきっかけは、サムシングファンが箕面市のPR映像『ようこそ箕面へ』の制作・寄贈を申し出てくれたことです。
2009年春に、市役所のロビーに大型モニタが設置されました。このモニタもある団体からの寄贈でしたが、箕面市には当時、そこで流す独自の映像コンテンツを保有していませんでした。市役所には転入手続きをはじめ、諸手続きのために沢山の方が訪れます。そのような方々をロビーでお待たせする間に、箕面の魅力をしっかり伝えられる映像コンテンツが欲しいと考えました。
箕面市では「箕面営業課」の新設など箕面の魅力を地域外に発信するためのイメージ作りを意欲的に推進してきましたが、パンフレットなどの印刷物とホームページといった手段しか使っていませんでした。

ーー映像コンテンツに期待したことは何ですか。
映像にしか持ちえない情報伝達力です。映像は、流しっぱなしにしておくだけで、見る人に強い印象を残すことが出来ます。それが紙やWebとの違いです。
映像コンテンツを制作したいと考えて動き出した時、サムシングファンの薮本社長がそれを聞きつけて協力を申し出てくれました。薮本社長は箕面市のご出身というご縁もあり、ありがたくご協力いただきました。そうして出来上がったのが、箕面市の総合PR映像『ようこそ箕面へ』です。
その後、『北大阪急行線延伸計画イメージ映像』(北大阪急行線延伸推進会議)、『芳醇な“実生の大ゆず”〜18年の歳月が育むプレミアム』(箕面市セールスプロモーション実行委員会)が制作されました。

各映像制作における箕面市役所の関わり方

ーー倉田市長は、それぞれの映像コンテンツ制作には、どのように関わりましたか。
私や箕面営業課職員は、各映像コンテンツ制作の企画段階から関わり、こういう情報を載せて欲しいといった要望や、コンテンツとなるネタ出し・案出しを行いました。

(1)『ようこそ箕面へ』
「カルピス創始者が箕面出身」、「ミスタードーナツ1号店がある」などのトピックを含め、箕面には住民にすら知られていないトピックが沢山あります。そういった情報を提供すると、サムシングファンも面白がって制作に取り組んでくれました。その様子を見て、完成が楽しみになりました。

(2)『北大阪急行線延伸計画イメージ映像』
実写とCGを合成し、鉄道延伸計画をリアルな映像で説明しています。私たちは、箕面市北部の森や田園風景を維持しつつ、大阪市内への強力なアクセスを実現する計画であることが伝わるよう、実写とCGの合成部分を、臨場感のある映像にしたいと考え、積極的に意見を出しました。例えば、地下を通る区間の説明では、ランドマークの家電店の屋号を具体的に示した方がわかりやすいという意見を出しました。また、電車が終着駅に到着するシーンでは、そこで映像が終わるのではなく、電車を降りて改札口から出るところまで描き、住民がよく知っている箕面市中心部の景色を見せた方がより実感が湧くだろうという意見を出しました。
サムシングファンは、これらの要望や意見に対して、工夫を凝らしてくれました。CGの仕上がりが心配でしたが、途中でCGのパーツの動きを見せていただくと、想像以上にリアリティがあり、「これならいける」という実感を持ちました。

(3)『芳醇な“実生の大ゆず”〜18年の歳月が育むプレミアム』
百貨店の催事やイベントで流し続けるイメージ映像なので、端的に魅力を伝えたいという想いがありました。偶然前を通るお客さんの目を引くよう、パッと目に飛び込んできて、一瞬で気持ちを掴めるよう、スタイリッシュかつ短い時間に魅力を凝縮した映像にして欲しいとお願いしました。

ーーそれぞれの映像作品が完成したのをご覧になられた際のご感想はいかがでしたか。
それぞれ全く違うトーンの映像に仕上がりましたが、私は3作品とも気に入りました。

(1)『ようこそ箕面へ』
“適度な田舎っぽさ”“温かさ”が伝わってくる作品に仕上がったと感じました。
箕面市は単なるベッドタウンではありません。滝や山、森に代表される豊かな自然を持っているし、農作物もあります。そのような複合的な魅力がきちんと表現されていたため、非常に嬉しかったです。

(2)『北大阪急行線延伸計画イメージ映像』
最初に見た時の感想は「かっこいい」でした。特に印象に残ったのが、鉄道が地下から地上に出てくる部分です。実写とCGがうまく融合していて、「もう鉄道が完成しているのか」と錯覚するような臨場感ある映像に仕上がっています。非常にリアリティがあってかっこいいというのが率直な感想でした。

(3)『芳醇な“実生の大ゆず”〜18年の歳月が育むプレミアム』
イメージ通りに仕上がっていました。3分弱という短い時間に「箕面の実生ゆず」の魅力が凝縮され、ゆずの芳醇な香りが伝わってくるような、綺麗でかっこいい映像になりました。

各映像の活用状況と活用による成果

ーー各映像コンテンツの活用状況および成果を教えて下さい。

「サムシングファンの映像制作に対する頑固なスタイルが信頼の証です」(箕面市 市長 倉田哲郎氏)
「サムシングファンの映像制作に対する頑固なスタイルが信頼の証です」(箕面市 市長 倉田哲郎氏)

(1)『ようこそ箕面へ』
初公開は、2009年7月25日の箕面まつりでした。同年10月4日には、YouTubeにアップロードして市の公式ホームページからリンクを張り、インターネット上でも公開しました。また、市役所ロビーでも上映を開始しました。
これまでインターネットでの視聴数は累計29,144回、市役所ロビーでは5年間で約13,000回上映しています(以降、実績値は全て2014年2月24日現在)。
ロビーで待ち合わせている方を観察していると、皆さんじっと見つめており、予想以上に関心を持っていただけたと感じます。長年市内に住んでいる市民の方からは「自分たちが知らない箕面市の一面を見ることが出来た」「市外の知人・友人にも話題を広げている」といった声が寄せられています。また、市外から転入してきた方からは「引っ越してきたばかりの地域の魅力を知る事ができた。引っ越して来て良かった」といった声を頂いています。

(2)『北大阪急行線延伸計画イメージ映像』
2011年10月5日、市の公式ホームページで初公開しました。これまでの視聴数は64,253回です。また、説明会で40回、箕面まつりで2回、青年会議所で1回上映しています。 箕面まつりなどで流すと、市民の方が食い入るように見ていますし、インターネットでも新聞やテレビなどで鉄道延伸計画のニュースが出るたびに、視聴数が飛躍的に伸びており、持続的な力になっていると感じています。
最近になって、これまでなかなか前に進まなかった計画がやっと前進し始めたのですが、この作品が1つのドライブ力になりました。鉄道の延伸計画は、地域住民を始めとする関係者からのご理解を得なければ前に進みません。住民にとっては、用地買収の困難さなどの疑問、不安があります。その疑問や不安を解消しようとしても、言葉ではなかなか説得力のある説明が出来ません。しかし、この映像を活用し始めてからは説明会での質問が減り、理解が進みました。見慣れた風景の中に違和感なく鉄道が走っている映像は説得力があります。

(3)『芳醇な“実生の大ゆず”〜18年の歳月が育むプレミアム』
2013年12月21日、西宮阪急で『箕面プレミアムゆずマーマレード』などの特別販売を行った際に、職員が接客している横にモニタを置いて映像を流しました。それを見て職員に声をかけるお客様が沢山いました。通りがかったお客様が、映像を見て興味を持ち、商品を買ってくださったというケースを、職員が一日の間に何回も経験しました。多くの人が行き交う百貨店で、通りすがりの人も「一瞬で」理解してくれるような印象的な映像づくりを、という狙いどおりでした。映像の力を再認識しました。
2014年2月下旬からは、市役所ロビーでも流しています。

サムシングファンへの評価

ーーサムシングファンに対しては、どのようなご評価をされていますか。
サムシングファンは、頑固でこだわりのある制作会社だと感じています。その頑固さやこだわりが良い作品を生み出す原動力ではないでしょうか。

サムシングファンと一緒に映像コンテンツを作る中で、大変印象に残ったことは、映像の目的や活用シーンを明確に意識した上で、どんな素材を生かして、それをどう伝えるのか、ということについて的確にアドバイスしてくれたことです。
分かりやすい例では『ようこそ箕面へ』に盛り込むコンテンツの取捨選択があります。当事者としては、伝えたいことを全て盛り込みたいところですが、サムシングファンからは見る側の視点に立って「これぐらいにしておこう」というアドバイスがありました。それが良い作品に繋がったと考えています。

現在、映像コンテンツ、特にインターネットで動画を配信することが流行っていますが、映像は使いみちをしっかり考えた上で制作しなければ、逆効果となります。例えば、短い時間で端的に伝えるべきシーンで、10分や20分もの長い映像をダラダラと見せても振り向いてさえもらえません。映像作品は見る側の時間を拘束します。最後まで見るのが苦痛だったり、結局何を伝えたいのかがわからなかったり、ということを防ぐには、目的をブレさせることなく、使い方のイメージを明確にして制作を進めるべきです。そのために映像制作会社は、クライアントをうまくコントロールすることも必要です。そこがプロの腕の見せ所です。

こうやって制作した作品は、結果的には想定していたシーン以外でも活用できるようになります。サムシングファンが制作した3本の映像も、それぞれ使い回しが出来ています。期待以上の価値が得られたと考えています。

「映像は使い方をしっかりイメージして制作しないと逆効果になってしまいますね」(左:倉田市長)
「映像は使い方をしっかりイメージして制作しないと逆効果になってしまいますね」(左:倉田市長)

映像活用の可能性とサムシングファンへの期待

ーー自治体における映像活用の可能性をどのようにお考えでしょうか。
自治体において映像を最も活かせるシーンは、何らかの施策について住民の方に説明をすべきシーンです。
まさに『北大阪急行線延伸計画イメージ映像』がそうです。鉄道が引かれると、新しい駅が出来て、駅前広場が整備されます。それに対して住民の方々は、どういうものが出来るのかに高い関心を持ちます。そのイメージを伝えるために、行政は非常に悩みますが、言葉だけでは限界があります。小さな模型を作ってもイメージは湧きません。大事なことは説明を受ける人が、その場に立った時のことを具体的にイメージできることです。「こういう街になるんだ」ということが、直感的に理解できるツールは映像だけです。『北大阪急行線延伸計画イメージ映像』で、それを実感しました。
今後、箕面市では、地域の方への何らかの説明をする時、映像作品の活用は増えるでしょう。

ーーサムシングファンへのご期待があれば教えて下さい。
サムシングファンの映像制作に対するこだわりを、ぜひ、全国の様々な自治体の情報発信に活かしてください。
箕面市は自治体の中では小規模な部類に入りますが、そのような自治体でも映像をしっかり活用出来ています。現在、他の市町村でもいかに情報を発信するかに関心が高まっていますが、今後は映像を活用するケースは間違いなく増えていくでしょう。自治体の職員は、基本的に説明下手、口下手です。でも伝えたいコンテンツや想いはあります。サムシングファンにはぜひ、そのような事情をうまく汲み取った上で、彼らが言いたいことを引き出して、目的や活用シーンに応じた映像コンテンツを生み出していただきたいと考えています。

箕面市役所 倉田哲郎市長

倉田市長、お忙しい中、有り難うございました。

※ 箕面市のWebサイト
※ 取材日時 2014年2月